「ルーツ」をちょうど読んでいるとき、NHKで「吉本隆明が語る 沈黙から芸術まで」(再放送)をみた。糸井重里氏のコーディネートで、吉本隆明氏(文芸評論家、思想家)の講演ドキュメンタリー番組だった。これをみて、これまで自分のなかで、もやもやしていたことがすっきりした。
講演のなかでは、自身の人生を語るとともに、「言語にとって美とはなにか」について述べていた。言語には、「自己表出」と「指示表出」があり、結論としては、「言語の本当に幹と根にあるのは沈黙なんだと僕は考えた」ということである。
「指示表出」は、伝達(コミュニケーション)することに対して、「自己表出」は、自分の意識や思考することであり、自己のなか、要するに“沈黙”のなかで表れ、構築されるものであり、さらに、“芸術”の価値はこの「自己表出」される部分にあるということである。
確かに「そうだ!」と納得してしまった。芸術に限らず、何にしろ、思考の内容とプロセス「自己表出」が大事であり、「自己表出」の段階で試行錯誤して練り上げ、それによって出される言語や表現、イメージを他に伝えるプロセス「指示表出」、そして、自己と他がアプローチ・合意するプロセスがとても重要であると思う。
March 30, 2023
1 年前
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